• 2024-07-27 4:26 PM

The Kitchen Car Times

introducing high-quality food truck restaurants and takeout stores.

「吠えろ!デスペラード!」第四回:キッチンカー製作について

BySammy 高橋

3月 3, 2024

サイト編集者ぎがん太(以下「ぎがん太」): 連載コラムの4回目です。前回のコラムの途中で出て来た話題があります。購入した「キッチンカー」店舗車輌が酷かった、という話題です。今回はそれを掘り下げて教えて下さい。
デスペラード店主 Sammy(以下「Sammy」): 自分も忙しかったのがいけないけどね、いやぁ信用信頼して酷い目にあったんだよ。
 
ぎがん太: 私が “Sammy’s Kitchen” の車輌を見たときに、そのタイヤハウスの形状から有名優良製作会社の作成した店舗車輌かと思ったんですが。
Sammy: 違うんだよ。
 
ぎがん太: で、私も以前に見た「なんじゃこりゃ」って点ですが。
Sammy: 走り始めた初期の頃に見てもらったよね。えっと整理すると……
 
ぎがん太: 写真の順番だと


扉の合わせなどが雑で摩れる上に、足付けもトップコートも不充分で納車直後からはがれる塗装

 


水廻りのホースが何年も外に出していたようなボロボロで汚れているもの

 


とても女性じゃ上げ下げできない非常識な重量がある店舗窓のアオリ扉、しかもちゃんと収まらない

 


其の扉を上げ下げする為のハンドルが古物流用品のハンドルを切ったグリップ

 
そんなとこですかね。写真整理しましたけど、この未経験者がつくったような仕上がりは実物見たほうが酷さ判りますね。
 
Sammy: 目に見える問題点はそんなとこだけどさ。こういう事に一言も正当なクレームとか連絡できないって状態になっててさ、それが何より悔しいんだよね。そこに至る迄もほんと色々とあったんだよ。思うんだけどさ練習台にされたのかな、それならそれで言ってくれればいいんだけど。でも信頼できる実績ある会社って聞いたし。だから俺やっぱり「だまされた」のかな、ひょっとしたら集団で「はめられた」のかな、ってなことなんだよね。
 
ぎがん太: 何でそんな業者を知ったんですか?
Sammy: 以前キッチンカー営業を始めた当初のさ、軽ワンボックスで出ていたときの現場で知り合ったお店があってそこの紹介だったんだ。
ぎがん太: あー、横の繋がり。
 
Sammy: そう。一緒に現場を盛り上げましょうなんて話にもなるし、そこで購入検討の話をしたら良いキッチンカー製作会社ありますよって強く紹介されたんだよね。「キッチンカーはアフターサービスが大事ですよ、そういう点でも良い製作会社ですから」ってさ。日頃近くにいるキッチンカーさんに具体的に親身に言われたらそりゃなるほどなって信用しちゃうよ。ところが実際は全然違ったんだ。
 
ぎがん太: どこの業者ですか?
Sammy: マイナーなんだよ。俺の他にあそこでキッチンカー作った人なんていないんじゃないかなぁ。でもさ何かキッチンカーを取りまとめている組織団体の役員だって名刺貰って信じちゃったよ。
 
ぎがん太: 協会とか一般社団法人とか他にもいろいろそれっぽい組織団体の構造あるけど、そういうのって手続きにしても法人格の信用にしても通常の法人以下の物じゃないですか。でもむしろ逆に更に信用する不勉強な人多いですよねぇ。
Sammy: 本来そうなんだよなぁ。
 
ぎがん太: いろんな業界が今おかしくなってますよ。「なんとかスペシャリスト協会」とか「ラグジュアリーなんとか協会」とか「なんとかエキスパート」みたいなの。結局クチの上手いヤツラのセルフプロデュースで自分がアドバンテージ獲るために設立された団体。会費でアブク銭集めるとか、自分だけ協賛とったり輸入元を信用させて稼げるイベントを理事だけ出店でやったり。飲食じゃないですけど、若手とか新参者なんて数集めで引き立て役か踏み台にされて大規模な仕事獲るための数字集めの駒ですよ、集められても出店できない数字の一部。まぁ総てがそうとは限らないんだろうけれど。
 
Sammy: まぁ俺もそんな風に利用搾取されたのかもなぁ。えっとね所在とか控えてるから教えるね。
 
ぎがん太: この住所、繁華街でそもそも車屋さんやる場所じゃないんじゃないですか?、って、いま調べたら複数の登記とか入居者ありますよ!てか郵便受けに宛名がずらりと並んでいるバーチャルオフィスかもしれませんよコレ。
Sammy:え!まじ?
 
ぎがん太: 本業は車屋さんなんですか?
Sammy:もともとキッチンカー店舗をやっている飲食店事業主だったらしいよ、やめてそのキッチンカー関連の組織の役員になって店舗車輌を作ってるって人だった。
 

ぎがん太: モロに不安なパターンじゃないですか。色んな業界でも聞きますよね。キッチンカーコンサルなんて肩書きにもいそうな印象のやつ。儲かるノウハウあるなら先ず自分が黙って仕事続けてるはずだよねぇ、ってケースのような気もします。儲かるって言うけど実際には自分はその仕事をやめていて、自分がさせられた苦労を若手にさせる立場にいる人達。苦労にあわされたノウハウを元に、今度は自分がそのまま使って小銭を楽に吸い上げて集めようとする側になる、とか。
Sammy: いま思い返せばねぇ。怪しい事たくさんあったんだよ。事務所には絶対に入らせてくれないし、打ち合わせもコンビニの駐車場だったり、おかしいことばかりだよ。
 
ぎがん太: うわぁ。
Sammy: 前金で全額渡して、途中で一度だけ車体とちょっとした骨組みだけ見る事が出来て、あとは出来上がってから「アフターサービスはしません、文句は一切いいません、すべて了承します」って契約書。さっきも言ったけどこっちは購入した物にどれだけ問題あっても向こうに対して何一つ言えないんだ。「それにサインしないと車は渡さない」っていう態度。こっちは仕事の予定も入っているからね。たいしたもんだよ。
 
ぎがん太:アフターサービス万全だから紹介するって推薦してきた例のキッチンカー店舗さんはどういうつもりだったんですかね?ってか自分の店もその製作会社だったんですかね?
Sammy: 紹介してきた店のキッチンカーは多分違う製作会社だと思うよ。どういうつもりだったのかもわかんないなあ。あのキッチンカーさんたち割りとチームで動いているから別経路でも耳には入っているはずだけどね。そもそも向こうも製作会社と親しい関係の筈なのに不思議なくらい何も言って来ないよ「納車おめでとう御座います」も「私が紹介した製作業者どうでした?」も何一つない。
 

ぎがん太: 実の所、Sammyさんだけじゃなくて、他にも客から見てもこのキッチンカーさん、店舗車輌に問題あるんじゃないの?苦労しているんじゃないの?って思うお店に私が気がつく事も幾つかあるんですよ。いろいろ漏れてたりとか。それでなくても事業が巧く行かなくてローンだけが残ったなんて話も聞きます。事業計画の甘さは仕方ないにしても店舗車輌のトラブルで泣き寝入りってのも聞くんですよね。こういう想定外のトラブルは辛いですよねぇ。
Sammy: 俺は映画ケータリング用に1台目の車輌、キッチンカーとしての平日ランチ出店はじめて2台目の軽ワンボックス、ここまでは何も問題なかった。だからか、そこからの3台目でも今までと同じだろうと安心し過ぎていたのが総てのミス。悔しいけれど出店予定が入っているから煮え湯を飲んでサインして車を受け取ったけれどさ。扉が余りに重すぎて女性一人で開けるという開店の作業すら出来ないだろ。だから俺がキッチンカー出店するしかなくて店長やってもらう筈だった女性の仕事もなくなちゃったもん。彼女も本店にいてもらったけど結局業務内容が約束と違うからか暫くたって退職しちゃったし。これさ女性一人の独立開業の1台で借金だけ残ったら本当に最悪だよね。
 
ぎがん太: ですよねぇ。僕らの以前の業界とちがって修業とか師匠筋とかなくて、突然夢を持って飛び込んでくる方が多いのも餌食になり易いですよね。そんな人達が店舗車輌購入時に特に気をつけるべき点ってありますか?
Sammy: まず最初にね、ちゃんと時間掛けて沢山の稼動中のキッチンカーさんの店舗を見ないとダメ。出来れば其の御店の店主さんにご自身の御店の造りとか購入したキッチン製作会社の話を教えて貰うこと。あと大切な事なんだけど複数のキッチンカービルダーの事務所に行って、自分の製品と他社についての見解をしっかり聞くこと。これが結構大事だよ。他社の話しなんかしないで俺が俺が、いいからうちが一番だからうちで作れ、って急がせるところは問題があると思う。開業支援なんていってグイグイと製作会社を薦めて来る飲食店も警戒した方が良いかも。場合によってはうちの軽ワンボックスの2台目みたいに自分で作っちゃうほうがよっぽどいい。
 

ぎがん太: 製作会社に他社製品の話を聞くと。なるほど。
Sammy: キッチンカー業界さ、悲しいけど嘘つく人多いような気がするんだよね。俺の周りだけかな?
 
ぎがん太: あー、客の立場ですけどね、自分も嘘つかれたこと沢山ありますよ。目の前で出店しているキッチンカー店舗さんが嘘に丸め込まれている事も見た事あります。私が「あの人やばそうじゃない?」なんて言っても意味ないんで黙ってましたけど、案の定その数週間後に再訪問したらあの時いた営業マンに巧みに酷い目にあわされたなんて聞いたりして。「売れるよ」って聞いたのに「売れないのは実力がないせい」って言われたとか。
 
Sammy: そういうのやだねぇ。楽な仕事なんてないのにね。嘘ついて小銭稼ごうとしても続く筈もないのに。
ぎがん太: お、今回も名言『楽な仕事なんてない』。でもほんとそうですよねぇ。で、そんな人達がいる環境に気が付かせるとか仲間のためにもこういう経験をシッカリ話せる人って実はなかなかいない気がします。ぎがん太はもう飲食引退して客でしかなくて、商取引以外に信頼がないから話さないのは当然ですが、更にいじめられたくない、出店場所を失いたくない、って黙って耐えているお店も多い気もするんですよ。騙したつもりじゃないにしても製作会社に生贄を献上したキッチンカー店舗とか。他にも客目線ですが気がつくと「なんとか軍団」に取り込まれちゃってるお店も多い気がしますし。今回のコラムはかなり問題提起になると思うんです。だから、まぁキッチンカー製作だけじゃなくても、レシピとか固定店舗とか商社直結の仕入先とかSammyさんはノウハウ多いんで、Sammyさんに相談に来る人いたら助けてあげて欲しいなぁ。
 
Sammy: お、いいよ別に。メッセージだけだと人となりが判らないから困るけど、平日の夜に客として来てもらってお客さん少ない時間だったら話の相手もできるし。
ぎがん太: じゃぁ此のコラムを読んで来たって人いたら相談受けてやって下さい。で其の人の勘定+15%しておいて貰って私に、、、
 
Sammy: ぎがん太、お前なぁ、さっき何て言ってた?笑
ぎがん太: 冗談ですよ冗談。笑
 

By Sammy 高橋

コラム「吠えろ!デスペラード! "Desperado"」担当。元中華シェフ、元夜景のみえるバーのバーテンダー、元有名HR/HMミュージシャンの集うダイナー店主。竹内まりやさん、世良正則さん、武道館で復活したザストリートスライダースのジェームスさんなどとも知り合いの元ミュージシャン。そして現在は中華も美味しいメキシコ料理レストランの社長シェフ、時にキッチンカーの楽しい店長。単身の方向けお弁当、ご家庭向けのテイクアウト、法人向け高級弁当など様々なニーズに対応します。気は優しくて少し照れ屋で反動で時々少しデスペラード。地域と多くの皆様に楽しんでもらえる飲食業を常に走らせています。