Interview : SPICE屋台 モクメさん Sep/2023
今回のインタビューはSPICE屋台 モクメさんに頂きました
お店のポリシーや思いなどが伝わる記事になればと願っております
(聞き手・文・写真:Gigantar40mm、取材:June/2023)
目次とリンク
1、お店とお二人のこと
2、モクメさんの独自性はドコから?
3、ご創業と日々の営業について
4、お店から最後にひとこと
5、編集後記:おすすめするお店使い方
1、お店とお二人のこと
-- 冒頭から失礼しますが、サイトの最初の記事「キッチンカータイムズはじまります」にお店の営業中の写真を使わせていただきました。許可をいただいたことに感謝しております。初めてお店に出遭った時の感動から何か形にするときは先ず最初に新時代を象徴するSPICE屋台 モクメさんで、と決めてました。
SPICE屋台 モクメさん(以下「モクメ店主、相沢さん」):此方こそ有難う御座います
-- さて、早速ですがお二人はご夫婦でいらっしゃいますが、奥様もグラフィックデザインと「てづくり」製作のもり文具店さんのもりまいこさんというお一人のアーティストさんでいらっしゃるので、お二人の立場それぞれでも話を聞かせてください
モクメ店主、相沢さん:かしこまりました。
もり文具店、もりまいこさん(以下、奥様、もり文具店、もりまいこさん):はい、ありがとうございます。
2、SPICE屋台 モクメさんの独自性はドコから?
-- 2年ほど前からSPICE屋台 モクメさんで美味しいランチを戴いていますが、当初から独自性が高く老若男女に「おいしい」カレーを提供されてますね。なにか秘訣や参考にしようとした他店さんや事例、過去のご修行の経験などあるのでしょうか?
モクメ店主、相沢さん:もともと私は長く料理人でしたけれど、そんなにカレーが好きという程ではなかったんです。ですが二人で一緒にカレー屋さんをまわる事が増えて、気がつくと楽しめるようになっていました。
-- カレー屋さんに話を聞くと「有名店に影響を受けた」なんて良く聞きますがそういうお店はありますか?特に「目立つ辛味、出汁の濃い旨味、ミネラル強い塩味といったものでなく、味覚バランス取れた儚いスパイシーな美味しさ」を感じるお店が他にあるとは思えなくて。
モクメ店主、相沢さん:沢山のお店をまわりましたが、特にこのお店だけ一番、というお店は特にありません。でも印象的なお店はあります。二人でいった都内のお店のなかの一軒で……。実はわたしたちにはピンとこなかったけれど、非常に人気があるお店でした。スパイスカレーにチャレンジしてみたいと直感で感じた瞬間でした。今でも気になるお店に食べに行っては勉強、の連続です。
奥様、もり文具店、もりまいこさん:そもそも私がカレーを好きで誘って一緒にカレー屋さんまわりをしていました。そんな中での一軒です。『数あるカレー屋にそれぞれのファンがいてそれぞれの世界がある』だから自分なりでもシッカリ仕事をすれば大丈夫、とそのお店が見せてくれているふうにうつりました。
-- 個性には優劣がつかないという事実は私も強く感じている点です。
奥様、もり文具店、もりまいこさん:そうですよねー
-- さてそうして食の感動を再認識されていたその時期にはもうキッチンカーでの独立開業を考えられていたのでしょうか?
モクメ店主、相沢さん:いえ、その頃はまだです。開業まで一年以上前の話です。
奥様、もり文具店、もりまいこさん:そのお店にいってから突然スパイスを買い揃え始め、カレーを作りはじめて自宅で私に食べさせてくれるようになりました。自分でスパイスの配合なども大分研究するようになっていって。身内とはいえ美味しいカレーが出来上がってくるので嬉しく思っていました。
モクメ店主、相沢さん:その頃には私もカレーの魅力をシッカリ理解できるようになってきて楽しくなってきました。そこで振り返ると、先程のその人気があったお店ではウーバーイーツでのご注文も多かったことを思い出したんです。ウーバー等の配達ではありませんがテイクアウト、その頃にはキッチンカーでの独立も考えていましたので、過去経験してきたイタリアンスペイン料理よりも、ご飯のお弁当として形にしやすいカレー屋さんから始めてみようと思うようになっていました。
-- 「ご飯のお弁当」という言葉。私の世代のカレーというと「カレースタンド」で「クイックランチ」という印象を持つ人間もいます。ですがモクメさんは定番の「豆カレーとジーラライス」もありつつ、常に非常にシッカリした「お弁当」を提供されてますね。私はおかず沢山の盛り合わせ「ミールス」で頂く事が多いので、和食ならば立派な「幕の内弁当」ですし、時には更に魅力的な「季節のなんとか御膳」のような感動もあります。
奥様、もり文具店、もりまいこさん:カレーをお出ししているキッチンカーは多くあるので、なにか自分たちのお店だけにしかないものを考えていました。
わたしの好きな南インドのミールスは菜食中心の定食のようなものなんですが、豆を使ったカレーが必ずあって、野菜の副菜もおいしくて、欧風カレーや北インドのカレーよりずっと軽くヘルシーに食べられ気がします。
店舗で食べられるところはどんどん増えていますが、キッチンカーではほとんど見かけない。これはいいのでは?と思いました。そして、ご飯。扱いやすい日本米ですが、スパイスカレーにはぜひバスマティライスで食べて欲しい…しかも何か更に特徴のある一皿にならないかな?とリサーチしていた時に見つけた「ジーラライス」
ある人が「ジーラライスには絶対レモンを」と熱く語っていたのが印象に残り試してみたくなったのがきっかけです。店主に店名とメニュー構成のざっくり案を提案してみたら「いいね」と快諾してくれました。
モクメ店主、相沢さん:お店の差別化ができたらという考えから始まりました。
油を控えめに軽く食べられるようになど、食べ歩きしてみてお弁当に合う形に落とし込みました。天候の変化など、キッチンカーでジーラライスを扱うことに苦労もありましたが、譲れない部分なので…その都度試行錯誤を重ねて今のカタチに落ち着いています
モクメ店主、相沢さん:他店との差別化として選んだ「豆カレー」と「ジーラライス」ですが、今ではなくてはならない大切な軸となっています。相性の良いノンベジカレーを考案しているともいえますが、肉魚介系カレーとの相性も良いですしなにより美味しいんです。ジーラライスは未経験の方が多いですが、軽い食感やレモンを絞って食べるさっぱり感なども好評で嬉しいです。当店の大きな特徴ではないでしょうか。インドで食べるものとは違うかも知れませんが、モクメ的解釈を楽しんでいただけたら。
-- ヒトツ前と同じような質問になりますが、色んなメニューを考案しつつも独自性を守りつづける秘訣みたいなものはあるのでしょうか?
モクメ店主、相沢さん:秘訣かわかりませんが…様々なカレーを作ってきましたが、そのどれにも関わる塩加減は特に大切にしています。ぶれができるだけないよう、基本的なことですが営業前の味見を必ず二人ですることは欠かせません。
奥様、もり文具店、もりまいこさん:実は私としては、今になって考えてみれば「経験して来るべきところに来た」という印象もあります。
モクメ店主、相沢さん:あぁそうですね、最初はチキンも「骨付き」で提供していて……。ですけれど私達の出店する場所がオフィス街だったりすると、勤務日のお客さんが手を汚してしまうと、拭くのも洗うのも大変かもしれません。そういうことを「お客さまからおしえていただいて、そうして改善して磨き上げてこれた」という部分は確かにあります。
奥様、もり文具店、もりまいこさん:カレーについても「こんなところが美味しかった」なんて伝えてくださるお客さまもいて非常に参考になるんですよー。
-- そういえば骨付きチキンなくなりましたね。確かに色々変化されてますね。塩豚や白身魚などの塩加減なども益々繊細で見事な落とし処に。
モクメ店主、相沢さん:骨付きの方が自然な出汁もでて美味しいのですけど……、お客さまの不便になるなら良くないです。最近ではもう少し辛いほうが~というお客さまのリクエストに応えて「辛味パウダー」も置くようになりました。
奥様、もり文具店、もりまいこさん:私自身は「味見役」でもあるのですが、仰っていただいた塩加減なども精度を上げられてきていると思っています。当店でもいろんな種類のカレーを出していますが、店主のつくるカレーはどれも素材やスパイスをそれぞれ邪魔せず引き立てあうような美味しさを感じますし、身内のわたしが一番惚れ惚れしています。
-- 見事なお料理を出されるために「俺の料理だ!」と絶対に曲げないお店もありますが。笑
モクメ店主、相沢さん:いや、いやぁ……それには。まぁ……それほどでもないですし。笑
-- 見事なお料理を出されるためにお客さま中心であり続けるということですね
モクメ店主、相沢さん:そうですね。やはりそうでないと。
3、ご創業と日々の営業について
-- 過去にも教えていただきましたが20年以上の暦ある料理人さんなんですよね?エスニックのご経験は?
モクメ店主、相沢さん:エスニック専門店はないですね。一番最初に就業した飲食店は「蕎麦屋」でした。その後は、イタリアン、スペイン料理など洋食中心です。
-- 以前にも申し上げましたが、いつかSPICE屋台 モクメさんの洋食料理も戴きたいんです。ラタトゥユの添えてあるポワレとか。
モクメ店主、相沢さん:ははは。そういっていただけるとうれしいです。
-- さて話を戻します。そして現在です。数年前の新型コロナが蔓延してしまったタイミングで、独立されたのですね
モクメ店主、相沢さん:そうですね。勤務先も事業が縮小し始めましたし私自身の年齢に於いても独立する時期だと考えました。
-- ご創業と営業にあたって何か気を付けられた点はありますか?個人的には感染症時代でも不安ない清潔なご営業が先ず嬉しいのですが。
モクメ店主、相沢さん:清潔は勿論ですが、安定してお客さまに美味しい物を出すという約束を守るということは強く意識しています。店舗車両も安心して使えるように新車で用意しました。また出店場所などは人の助けをかりるなどして、お客さまへ向かい合うための調理等の時間を何よりも第一に優先するようにしています。ですので最近では土日のイベント出店は控えて、平日営業に力を注いでいます。
-- お店のロゴ、看板デザイン、メニューポップ、SNS発信なども可愛さと信頼感が見事ですね、すぐ目に入って見やすいですし。
モクメ店主、相沢さん:それはもう彼女に任せました
奥様、もり文具店、もりまいこさん:褒めていただいて嬉しいです
-- お店のロゴ、看板デザイン、SNS発信等もユニークで既に美味しさ伝わりますがもり文具店さんのもりまいこさんとしてのセンスも相互作用が合って素敵です。何か気を付けている点はありますか?
奥様、もり文具店、もりまいこさん:恐縮です…。車体色の柔らかなアイボリーに映えるよう、ロゴはターメリック色のような黄色にしました。開店当初から見た目を褒めていただくこともあり、立ち寄りやすさにもつながると感じるのでとても嬉しかったです。
お店の窓に大きく貼ったロゴステッカーは良い目印になってくれています。ですので、それらを邪魔しないような賑やかすぎないPOP作りを心がけています。一番大切にしているのは、忙しい時間でお昼ごはんを調達したいお客さまから見てわかりやすいか、です。遠くから見ても何屋かわかるよう「SPICE CURRY」と書いた手製の「のれん」や、一番大きなポスターの様な役目のPOP(ターボリン)にはパッと見て「盛り付け写真」「ジーラライスという変わったライスのお店」というのはわかりやすくしました。
いつやっているかも大切なのでA型の看板には「週に一度」「曜日 営業時間」等や各箇所に出店スケジュールカレンダーも掲示しています。
開店当初からマイナーチェンジを続けているメニュー表は、よりわかりやすくしたいという気持ちがあり(カレーの内容が毎日変わったり、選び方によって値段が違ってきたりと少し複雑なので)まだまだ試行錯誤中です。
SNSに関しては事前に正しい情報がわかるように、を心がけています。読んでおもしろいことはないかもしれませんが(笑)来店の際の手助けにはなるかと思います。
-- そういえば毎年、年初に店頭で販売されている「干支おみくじ」が私大好きです。早く十二支そろえたいくらいです。笑
奥様、もり文具店、もりまいこさん:ありがとうございます。あと10年かかりますね。笑
-- モクメ通信も楽しく判り易いです。あえて此処で触れないお店からのメッセージも素敵なものがあります。
奥様、もり文具店、もりまいこさん:ありがとうございます。モクメとは?の基本がつまった取扱説明書的なチラシです。接客時に伝えきれないこともたくさんなので、より当店のことを知っていただけるかと思います。店頭で配布していますので、是非手にとっていただけたら嬉しいです。
4、お店から最後にひとこと
-- 今日はお時間とらせて申し訳ありませんでした。質問応答の枠を外れてお店からメッセージをお願いします
モクメ店主、相沢さん:開業当初から、お弁当としてその一皿で楽しめるような、満足いただけるようなものを心がけていました。飽きずに食べてもらえたら、とバランスも考えつつ新作も定期的にお出ししていますが、スパイスカレーのお弁当の表現としては今の形が自分の中のベストと思っています。
それがお客さまのランチタイムの楽しみに繋がっているような感覚があります。固定店舗を望んでくれる方もいらっしゃって、自分のつくる味を楽しみにしてくれる方がいるんだ、と励みになりますし、目標に向かう自信となっています。リピートしたくなるようなスパイスカレーを是非食べに来てください。喜んでもらえるよう、これからも日々精進していきます。ご来店をおまちしております!
5、編集後記:お店の便利な使い方
-- お店で慌てない注文の方法
順を追って書くと
(1)、お店前部か後部(車両のフロントかリア)にある黒板看板の『本日のメニュー』を確認する
(2)、食べる量、組み合わせをじっくり考える
・モクメミールス:カレー2種盛りとおかずセット
・モクメカレー :カレー2種盛り
・単品カレー :カレー1種盛り
*インタビュアー個人的には定番の豆カレーと日替りの組み合わせ、で野菜のおかずが美味しい「ミールス」がオススメです
(3)、オーダー、合わせて是非ポイントカードを。持っていない方は作ってもらえますよ。
(4)、代金を先に支払う
(5)、楽しく待つ
(6)、受け取る
(7)、スプーン、ナプキンなど必要ならお店の脇にあるものからいただく、持ち帰りの袋もご用意ありますので安心
(8)、「出来立て」をいただき感動する
という流れになります
-- ちょっとした裏技
SPICE屋台 モクメさんはカレーも見事ですが、ドリンクも美味しいです。
季節のフルーツの酵素でつくった「ラッシー」や「マサラチャイ」なども是非チェックしてください
あと此処まで引っ張りましたがお店の「ジーラライス」はエピックです!新世界ですよ!
添えてある「おかず野菜」など少しだけどかして添えてあるレモンをライスにだけ絞ってみて下さい。
さほど強くない「クミン」と「バスマティライス」が眠りから醒めてフレッシュに踊りだす感覚は感動です
そして其処に合う定番の豆カレーの優しさなんて、もう芸術レベルですよ。
(私は圧倒的基礎と其の瞬間に降ってくるセンスあるキースジャレットの「ザケルンコンサート」のようだと思っています)
-- 持ち帰りと雨の日の受け取りについて
お店には余程酷くない風雨でなければ雨を避けられる庇があります
また受け取ったランチボックスをはじめ荷物を整理できる棚を用意して下さってます
さらに嬉しい事に持ち帰りでは「別盛り」のパッケージも用意して下さってます
上手に温めるとお店でいただけるレベルの美味しいモクメカレーがいただけますよ!
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“おひとりでも大事な方とでも、疫病に負けずに素敵な時間を過ごせますように”
– ザ・キッチンカー・タイムズより